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  • 2014.10.04 Saturday

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    【20100616】

    • 2014.02.09 Sunday
    • 06:00
    クルマのキズ

    クルマにキズをつけてしまった。

    誰のせいでもなく、自分の不注意が原因だから、
    このやるせない気持ちは、自分で飲み込んでしまうしかない。

    不注意な運転をしてしまうほど、僕は疲れていたのか、
    慣れない場所を甘く見ていたのか、
    とにかく慎重さが欠けていたのか、
    そういった理由が複合的に作用してしくじってしまったのか。
    考えれば考えるほどやるせなさが募る。

    僕は運転が下手くそなのだと、しっかりと自覚しよう。
    これが今回の教訓だ。
    どこかで、僕は運転に対しての
    謙虚さを置き去りにしてきたのだと気付いた。

    自分のクルマをキズつけただけで済んだので、
    よかったと思うことにしよう。
    他人様や他人の財産をキズつけなかったことは、
    ラッキーだったということにしよう。ものは考えようだ。

    さて。愛車の左前方についたキズを、
    しばらく僕はそのまま残すとしよう。
    すぐに修理して消してしまうより、
    運転する前には必ずそのキズを見るようにして、
    戒めとするのがよいのではないか。
    安全運転を言い聞かせるキッカケとして、
    そのキズを利用することにしよう。

    officebach promotion blog


    平田理ネット著作セレクト

    【20100611】

    • 2014.01.19 Sunday
    • 07:11
    旅立ち前夜

    眠れない。
    明日からの旅のことを考えると、
    眠れない。
    目を閉じて、
    暗闇に大海原を思い描いても、
    草原に羊を遊ばせても、
    砂漠でダイヤモンドを探しても、
    大空に舞う雲雀になって声高に鳴いても、
    水槽の中で共食いするメダカを眺めても、
    南国の市場の香辛料の匂いを思い出しても、
    株価を表示する電光掲示を想像しても、
    カラオケで絶唱する姿を浮かび上がらせても、
    今夜の夕食のメニューをおさらいしても、
    因数分解の公式を無理矢理証明しても、
    右に左に寝返りうっても、
    眠れないものは、
    眠れない。
    こんなに気持ちを高ぶらせる旅が、
    これまでにあったろうか。
    こんなに眠れない夜を過ごさなければならない旅立ち前夜が、
    あったろうか。
    自分の子ども時代を振り返る。
    自分の青春時代を懐かしむ。
    自分の成年してからを反省する。
    そして未来を夢想する。
    過去の堆積をいくら掘り起こそうと、
    将来のロマンの物語を創造しようと、
    眠れないものは、
    眠れない。
    白々と、
    東の空が、
    明るくなる。
    眠らずに、
    旅立つことに、
    なりそうだ。
    僕は、
    新月の日に、
    東に向かい旅を始める。

    officebach promotion blog 


    平田理ネット著作セレクト

    【20100609】

    • 2014.01.19 Sunday
    • 06:46
    原稿用紙

    まだ、何も書いていない原稿用紙に向かい、ペンを握った瞬間。
    そこには、無限大の想像世界が広がっているはずなのに、
    ひとたびペンを走らせると、陳腐で手垢まみれの表現しか表れず、
    拙い創造世界しか書けない自分に、ひどく苛立ちます。
    周囲が灰色の世界に見えてきて、四方の壁が自分に迫るようです。
    書きかけの原稿用紙を破り捨て、もう一度、真っさらな升目と対峙したところで、
    新しいアイデアが浮かぶこともなく、私は、頭を掻きむしるばかりです。
    そこへ、本の虫が現れ、原稿用紙の上でピョンピョン跳び跳ねています。
    何か、私に向かって叫んでいる様子なので、耳を近付けてみました。
    「うまく書こうなんて思うな、お前には、無理なのだから。
    感じたままを、書けばいいのだ。一人くらい、
    その思いに共感してくれる人も、あるかもしれないじゃないか」
    言い終わると、本の虫は、大きくジャンプして消えてしまいました。
    感じたままを書く。私には、そうするより他ありません。
    余分なレトリックを排して、思いをストレートに表現するだけだ。
    自分に言い聞かせて、再び原稿用紙に向かい、ペンを握っていました。
    周囲の壁が狭めていた自分の空間は、少し広がり、
    灰色に、少し朱色が滲んできたようです。

    officebach promotion blog 


    平田理ネット著作セレクト

    【20100525】

    • 2014.01.19 Sunday
    • 06:37
    叫んでみるよ、これからは。

    けして弱弱しい男ではないのだけれど、彼はとにかく物静かな男であった。
    大きな声をあげない。そもそも口数が少ない。ぜったいに喧嘩はしない。
    どんなに挑発されようが、無表情で受け流す。
    そんな彼が、とても感情豊かな女に恋をしてしまうのだから、男と女は、面白い。
    ある日のデートの会話をのぞいてみよう。
    「ちゃんと言ってくれなきゃ、わからないでしょ。
    あなたが何を感じているのか、何を考えているのか。
    あたしは知りたいのよ、感じたいの!」
    「……そうだね……」
    「もっと怒ってよ! 女のあたしにここまで言われて、
    悔しくないの? 何も感じないの?」
    「……感じなくもないけど……」
    「けど? はっきり言ってよ!
    感情をぶつけ合いましょうよ。
    その先に、素敵な世界が待っていると思えないの?」
    「……素敵な世界か……」
    「う〜ん、もういいっ!
    あたしはガマンの限界。
    あなたのペースには、ついていけません! サヨナラ!」
    「さ、叫んでいるよ! 俺のこの胸の中では、叫んでいるんだ!
    言葉が出てこないだけなんだ、言葉が思い浮かばない……」
    「そうなの?」
    「そういう男だっているんだ、感情表現ができない男。
    むしろそのことをしないように生きてきたんだ、
    いきなりそうしろと言われても難しいよ」
    「ふ〜ん」
    「だけど。叫んでみるよ、これからは。
    感情を、表に出すようにする!」
    「じゃ、叫んでみてよ、今すぐに」
    「……」
    「できないの?」
    「俺はお前を好きなんだよ〜!」
    声が裏返った。 

    〜 officebach promotion blog 


    平田理ネット著作セレクト

    【20100520】

    • 2014.01.19 Sunday
    • 06:28
    降るかもしれない雨をおそれて

    雨降りが予想されても、彼は傘を持たない。
    現在降っていないのであれば、必要ないじゃないか。
    そう考えているのだが、勿論、予想が当たって雨が降れば、
    濡れることも頻繁にある。ビショビショになる。
    だのに。彼はその習慣を改めない。
    未だ起きていない不都合をおそれるのが嫌なのだ。
    降るかもしれない雨をおそれて、
    降っていないときにまで傘を持ち歩くよりは、
    降ってからそれを回避するようにすればいいじゃないか。
    勿論、回避できないときだってある。
    濡れることも頻繁にある。ビショビショになる。
    降水確率という得体のしれない数字なんかに、
    自分は左右されたくない、と彼は思っている。
    濡れることによるデメリットよりも、
    自分の信念を貫くことにより得られる自己満足を、
    彼は選択しているのだ、そういう価値観なのだ。
    雨が降れば、雨のあたらない場所に向かって走ればいい。
    雨宿りして、ぼんやり空を眺め、自分に向き合えばいい。
    ビショ濡れになったら、着ている服を脱いで素裸になればいい。
    降水確率80%の朝。
    彼は今日も傘を持たずに家を出た。
    おそらくまた、ビショビショになる。


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